サーモグラフィの比較・検証を行う際に知っておきたいこと|テレビ・雑誌・Web企画での注意点

サーモグラフィ株式会社

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2026.7.13

サーモグラフィの比較・検証を行う際に知っておきたいこと|テレビ・雑誌・Web企画での注意点

赤外線サーモグラフィカメラを毎日扱うプロ達のコラム 其の九

サーモグラフィ 比較検証 温度測定値の違い フォーカス精度

サーモグラフィの比較・検証を行う際に知っておきたいこと

前回まで、大口径レンズやマニュアルフォーカスの有無が、サーモグラフィカメラの精度を大きく左右するという話をしてきました。今回はその続きとして、「比較」や「検証」を謳う企画で実際に起きている問題について書きたいと思います。

最近、テレビ番組に限らず、雑誌やWeb企画でも、サーモグラフィを使った比較検証をよく見かけるようになりました。費用を抑えられることから、スマートフォンに装着するクリップ式や充電端子に接続するタイプ、あるいはスマホと同じくらいのサイズの一体型・ポケットサイズのサーモグラフィカメラが使われるケースが増えています。

温度が高いか低いか、色の変化をざっくり見る程度であれば、これらの機材でも大きな問題はありません。しかし、比較や順位付けを目的とした検証では、測定条件によって結果が左右される可能性があるため、注意が必要です。

というのも、これらスマホ装着型やポケットサイズの一体型サーモグラフィカメラには、そもそもマニュアルフォーカス機能がありません。多くは固定焦点方式で、測定者が被写体に合わせてピントを調整するということ自体ができない構造になっています。ここで問題なのは、この固定焦点方式を「オートフォーカスだから使いやすい、正確なはず」と勘違いしたまま使ってしまっている人が多いことです。固定焦点とオートフォーカスは、まったく別のものです。ちなみに、正確に温度が測定できるサーモグラフィーカメラには、マニュアルフォーカスに加えてオートフォーカスも搭載されていますが、そのオートフォーカスにしても万能ではありません。小さな対象物や反射の多い対象物では、意図した位置とは違う場所にピントが合ってしまうことがあります。最終的には測定者がマニュアルでピントを確認・調整できることが、比較試験には欠かせません。

フォーカスだけの話でもありません。測定距離、撮影角度、周囲環境、測定タイミング、被写体の状態、さらには放射率や反射の影響まで、比較試験にはいくつもの条件が絡んできます。これらは、機器の操作に慣れているというだけでは判断できません。赤外線測定の知識が十分な人に、その条件で問題がないかを事前に確認したうえで検証を行う必要があります。

サーモグラフィは映像機器ではなく、測定機器です。ピントが甘いまま、条件の妥当性も確認しないまま比較を行うと、次のような懸念が生まれます。一つは、その情報をもとに商品を選んでしまう視聴者や読者に、誤った判断材料を与えてしまうこと。もう一つは、不利な結果を出されてしまったメーカーが、正当な理由もなく評価を落とされてしまうことです。測定条件のズレが原因の誤差であるにもかかわらず、まるで製品自体の性能差であるかのように扱われてしまう。これは、作る側にも見る側にも、そして測定される側にも、誰にとっても良いことがありません。

ですので、何かを比較したり、順位を競ったりする企画を行う場合は、最低限、次の点を満たしていただきたいと思います。

・マニュアルでピントを合わせられるサーモグラフィカメラを使用すること
・測定距離、撮影角度、周囲環境、測定タイミング、被写体の状態、放射率や反射の影響などを含め、機種選定から測定方法まで、赤外線測定の知識が十分な人に事前に相談し、問題がないか確認しておくこと

ここで大事なのは、機材に詳しい人でも、検証対象そのものの専門家でもなく、赤外線測定そのものに詳しい人に確認するという点です。機材の操作ができることと、正しい測定条件を判断できることは、まったく別の技術です。特に、優劣を決めたり順位をつけたりする企画では、この確認を怠らないことが公平性の土台になります。

専門家に立ち会っていただくのがもっとも望ましい形ですが、立ち会うだけでは、視聴者や読者には「専門家が測定や監修に関わっている」ということが伝わりません。可能であれば、赤外線測定の専門家に実際に出演していただき、測定条件や結果について直接説明していただくことも、企画の信頼性を示すうえで有効です。

視聴者の皆様、読者の皆様には、そうした目で見ていただけると、間違った情報に振り回されることも少なくなるのではないかと思います。企画を作る制作者の皆様には、機材選定や測定条件、専門家への確認について、一度立ち止まって考えていただけると幸いです。

サーモグラフィ画像は、条件が揃って初めて比較することができます。

正確な測定と公平な検証のために、私どものような赤外線測定の専門家にできることがあれば、いつでもお声がけください。。



映像制作向けのサーモグラフィーレンタルについては、テレビ制作向けサーモグラフィレンタルページをご覧ください。

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