2026.10.9
熱の伝わり方は3種類|サーモグラフィレンタル コラム
赤外線サーモグラフィカメラを毎日扱うプロ達のコラム 其の十四
前回のコラム(其の十一:温度と熱は同じではありません)では、「熱は必ず温度の高い場所から低い場所へ流れる」という原則をご紹介しました。では、その熱は具体的にどのような経路で移動しているのでしょうか。そして、サーモグラフィカメラはその中の何を捉えているのでしょうか。今回は、熱の伝わり方とサーモグラフィカメラの関係について、少し書いてみようと思います。
熱の伝わり方は、「伝導」「対流」「放射」の3種類に分けられます。焚き火を思い浮かべていただくと分かりやすいでしょう。火に差し込んだ金属の棒を握ると、火に触れていない持ち手まで熱くなります(伝導)。炎の真上には、熱い空気が立ち上っていきます(対流)。そして、少し離れた場所で手をかざしただけでも、手や顔が温かく感じられます(放射)。この3つが、熱が移動する基本のパターンです。
伝導:物質の中を、分子から分子へ伝わる熱
伝導とは、物体の中で分子の運動エネルギーが、隣り合う分子へ次々と受け渡されていく現象です。固体の内部を熱が移動する主な手段であり、温度差が大きいほど、熱の通り道の断面積が大きいほど、そして物体が薄いほど、たくさんの熱が流れます。また、金属は熱を伝えやすく、断熱材や空気は伝えにくいなど、物質ごとに伝わりやすさ(熱伝導率)が異なります。
たとえば、壁の断熱材が薄くなっている箇所や、熱を伝えやすい柱が入っている箇所は、同じ壁の中でも、ほかの部分より多くの熱が通り抜けます。その結果、表面温度に差が生まれ、熱画像では周囲と違う色として現れます。
対流:液体や気体が動くことで運ばれる熱
対流とは、水や空気などの流体そのものが動くことで、熱が運ばれる現象です。温められた流体は軽くなって上昇し、冷たい流体は下へ沈むという循環が生まれます(自然対流)。さらに、風・ファン・ポンプなどによって流体が強制的に動かされると、より多くの熱が運ばれます(強制対流)。対流は液体と気体でのみ起こり、固体の中では起こりません。
屋外の点検や測定で、風の影響を無視できないのは、この対流のためです。風が当たっている設備は、表面の熱が空気に持ち去られて温度が下がり、本来は温度が高いはずの異常箇所でも、周囲との差が小さくなって見つけにくくなることがあります。
放射:空気などの媒体を必要とせず、赤外線として伝わる熱
放射(輻射とも呼ばれ、同じ現象を指します)とは、物体が温度に応じて赤外線を放出し、それを別の物体が吸収することで熱が移動する現象です。絶対零度でない限り、すべての物体は赤外線を出しており、温度が高いほど強く放出しています。空気などの媒体を必要としないため、太陽の熱が宇宙空間を越えて地球に届くのも、この放射によるものです。実際に移動する熱の量は、放出と吸収の差し引きで決まり、高温の物体から低温の物体へと向かいます。
サーモグラフィカメラが見ているのは「放射」です
ここが、今回いちばんお伝えしたい点です。サーモグラフィカメラが検出しているのは、対象物の表面から放射される赤外線だけです。伝導や対流によって運ばれてきた熱が、結果として表面の温度に現れ、それが赤外線として放射されて初めて、カメラに映ります。
つまり、熱画像は「表面温度の分布」であり、壁の内部や機器の中身を直接見ているわけではありません。内部の異常は、表面温度の差として現れて初めて検出できます。そして、その現れ方は、熱がどのように伝わってくるか(伝導)、風でどれだけ奪われるか(対流)といった条件によって大きく変わります。
このように、熱画像を正しく読み取るためには、「なぜその色に映っているのか」を熱の伝わり方から考える視点が欠かせません。カメラの性能だけでなく、測定する環境や条件を踏まえて判断することが、正確な測定につながります。
私どもは、こうした熱の伝わり方の基礎を踏まえたうえで、お客様の測定内容に最適な機種選定と設定をご提案しております。サーモグラフィレンタルをご検討の際も、機種選定からお気軽にご相談ください。
サーモグラフィーレンタルのご相談は、サーモグラフィレンタル【公式】サーモグラフィ株式会社までお気軽にどうぞ。
前回のコラム(其の十一:温度と熱は同じではありません)では、「熱は必ず温度の高い場所から低い場所へ流れる」という原則をご紹介しました。では、その熱は具体的にどのような経路で移動しているのでしょうか。そして、サーモグラフィカメラはその中の何を捉えているのでしょうか。今回は、熱の伝わり方とサーモグラフィカメラの関係について、少し書いてみようと思います。
熱の伝わり方は、「伝導」「対流」「放射」の3種類に分けられます。焚き火を思い浮かべていただくと分かりやすいでしょう。火に差し込んだ金属の棒を握ると、火に触れていない持ち手まで熱くなります(伝導)。炎の真上には、熱い空気が立ち上っていきます(対流)。そして、少し離れた場所で手をかざしただけでも、手や顔が温かく感じられます(放射)。この3つが、熱が移動する基本のパターンです。
伝導:物質の中を、分子から分子へ伝わる熱伝導とは、物体の中で分子の運動エネルギーが、隣り合う分子へ次々と受け渡されていく現象です。固体の内部を熱が移動する主な手段であり、温度差が大きいほど、熱の通り道の断面積が大きいほど、そして物体が薄いほど、たくさんの熱が流れます。また、金属は熱を伝えやすく、断熱材や空気は伝えにくいなど、物質ごとに伝わりやすさ(熱伝導率)が異なります。
たとえば、壁の断熱材が薄くなっている箇所や、熱を伝えやすい柱が入っている箇所は、同じ壁の中でも、ほかの部分より多くの熱が通り抜けます。その結果、表面温度に差が生まれ、熱画像では周囲と違う色として現れます。
対流:液体や気体が動くことで運ばれる熱対流とは、水や空気などの流体そのものが動くことで、熱が運ばれる現象です。温められた流体は軽くなって上昇し、冷たい流体は下へ沈むという循環が生まれます(自然対流)。さらに、風・ファン・ポンプなどによって流体が強制的に動かされると、より多くの熱が運ばれます(強制対流)。対流は液体と気体でのみ起こり、固体の中では起こりません。
屋外の点検や測定で、風の影響を無視できないのは、この対流のためです。風が当たっている設備は、表面の熱が空気に持ち去られて温度が下がり、本来は温度が高いはずの異常箇所でも、周囲との差が小さくなって見つけにくくなることがあります。
放射:空気などの媒体を必要とせず、赤外線として伝わる熱放射(輻射とも呼ばれ、同じ現象を指します)とは、物体が温度に応じて赤外線を放出し、それを別の物体が吸収することで熱が移動する現象です。絶対零度でない限り、すべての物体は赤外線を出しており、温度が高いほど強く放出しています。空気などの媒体を必要としないため、太陽の熱が宇宙空間を越えて地球に届くのも、この放射によるものです。実際に移動する熱の量は、放出と吸収の差し引きで決まり、高温の物体から低温の物体へと向かいます。
サーモグラフィカメラが見ているのは「放射」ですここが、今回いちばんお伝えしたい点です。サーモグラフィカメラが検出しているのは、対象物の表面から放射される赤外線だけです。伝導や対流によって運ばれてきた熱が、結果として表面の温度に現れ、それが赤外線として放射されて初めて、カメラに映ります。
つまり、熱画像は「表面温度の分布」であり、壁の内部や機器の中身を直接見ているわけではありません。内部の異常は、表面温度の差として現れて初めて検出できます。そして、その現れ方は、熱がどのように伝わってくるか(伝導)、風でどれだけ奪われるか(対流)といった条件によって大きく変わります。
このように、熱画像を正しく読み取るためには、「なぜその色に映っているのか」を熱の伝わり方から考える視点が欠かせません。カメラの性能だけでなく、測定する環境や条件を踏まえて判断することが、正確な測定につながります。私どもは、こうした熱の伝わり方の基礎を踏まえたうえで、お客様の測定内容に最適な機種選定と設定をご提案しております。サーモグラフィレンタルをご検討の際も、機種選定からお気軽にご相談ください。
サーモグラフィーレンタルのご相談は、サーモグラフィレンタル【公式】サーモグラフィ株式会社までお気軽にどうぞ。