2026.10.13
遮熱塗料の効果検証にサーモグラフィは使える?|サーモグラフィレンタル相談事例
赤外線サーモグラフィカメラを毎日扱うプロ達のコラム 其の十六
前回のコラム「テレビ番組の効果比較にスマホ型サーモグラフィは使える?」では、放送の企画での相談事例をご紹介しました。今回は、塗装業者様や建物のオーナー様から多くいただく、「遮熱塗料の効果を、サーモグラフィで比べたい」というご相談を例に、弊社がどのようにお話をうかがい、どのようにご提案しているかをご紹介します。
・屋根や屋上を外から撮影して、塗装した部分と塗装していない部分の温度差を見せたい
・塗装前と塗装後の屋根の温度を、サーモグラフィで比べたい
インターネットで「遮熱塗料」「サーモグラフィ」と検索すると、屋根や外壁を外から撮影し、塗装前後や塗装範囲の内外で、表面の温度が大きく違って見える画像が数多く掲載されています。そのため、同じように撮影すれば効果が確認できると考えられるのは、自然なことです。
屋根の撮影をご希望になる背景には、次のような理由があります。
・屋根を塗装したのだから、屋根の温度が変わっているほうが、イメージとして分かりやすい
・インターネットや他社の資料にある画像と、同じような画像がほしい
お客様に分かりやすく伝えたいというお気持ちから出たご希望で、よく分かります。ただ、測定方法が適切でない比較結果をお示ししてしまうと、効果の説明としての説得力を欠くだけでなく、かえって商品のイメージを下げてしまうことになりかねません。
どちらも「熱を防ぐ塗料」として一緒に語られることがありますが、サーモグラフィで効果を確かめるときの考え方は、基本的に同じです。いずれの場合も、屋根の外側の表面温度ではなく、建物の中へ入る熱の違いを見ることが大切です。以下では、遮熱塗料を例にご説明します。
・放射率の違い:物体は、表面の状態(光沢、材質、色など)によって、赤外線の出しやすさが異なります。この違いを考えずに温度を読むと、同じ温度の面でも、見かけの温度が変わります。
・周囲の映り込み:遮熱塗料は、日射を反射するために、光沢のある表面に仕上がるものが多くあります。光沢のある面は、周囲の赤外線を反射します。屋根が向いている先は空ですが、空は地上の物体よりも見かけの温度が低いため、その低い温度が映り込み、屋根の温度が実際より低く見えることがあります。
・その他の条件:日射の強さ、風、時間帯、下地や色の違いなども、屋根の表面温度に影響します。

その結果、遮熱の効果がそれほど高くない塗料であっても、光沢のある塗料であれば、屋根の温度が圧倒的に低く見えてしまうことがあります。屋根の表面温度が低く見えることと、建物の中に入る熱が減っていることは、別の話です。なお、影響の大きさは、塗料の種類や仕上がりによって異なります。
室内の天井は、日射や空の映り込みの影響を受けにくく、塗装していない同じ仕上げの面同士を比べやすいため、放射率や映り込みの条件をそろえやすくなります。屋根の外側の温度差ではなく、天井面の温度の違いを見ることで、効果の有無を、より正しく確認することができます。

・何を確かめたいのか(効果の有無か、塗料同士の比較か、お客様への説明資料か)
・建物の構造と、塗装した場所(屋根、屋上、外壁など)
・どのように比べる予定か(塗装前後か、塗装した部屋としていない部屋か、別の建物か)
・撮影を予定している時間帯と、天候(日射のある日か)
・画像をどこで使うか(社内の資料か、お客様への説明か、ホームページや広告か)
企画の参考にされた検証画像が、屋根の外側から撮影したものである場合は、その画像の見え方についても、あわせてご説明しています。
・機種:測定条件を管理でき、温度の数値を扱える、測定に適した機種
・測定方法:室内の天井面で比較すること。比べる条件(時間帯、日射の条件、向き、構造、撮影の距離と角度)をそろえること。外気温や室温もあわせて記録すること。
屋根を外から撮影した画像を使う場合は、その画像が示している内容と、示していない内容を、説明文に正しく書く必要があります。弊社では、画像に添える説明文に、誤解を招く表現がないかの確認も承っております。
弊社でレンタルをご利用いただく方は、室内からの比較画像を使われることが多く、測定方法の見直しも含めて、ご対応をいただいています。
近年は、小型で価格を抑えたサーモグラフィカメラが増え、取り扱う会社も増えました。その中には、測定の条件を専門家と十分に確認しないまま、インターネット上の事例を参考に案内されるケースも見られます。温度の差が大きく出ているからといって、正しく比較できているとは限りません。
サーモグラフィを使った比較や検証で、誤った情報を避けるには、画像の見た目ではなく、「何を測っているのか」「条件はそろっているのか」を確かめることが大切です。この点は、コラム「サーモグラフィの比較・検証を行う際に知っておきたいこと」でも書いておりますので、あわせてご覧ください。
・屋根の外側の表面温度だけで、効果を判断していないか(建物の中へ入る熱の違いも確認しているか)
・屋根や外壁を外から撮影する場合、塗料の光沢や仕上げによる放射率の違いと、空の映り込みの影響を考えているか
・比較する面の条件(塗料の光沢や仕上げ、時間帯、日射、向き、構造)がそろっているか
・測定方法と、画像の見せ方を、赤外線測定の専門家に事前に確認してもらえているか
弊社では、お問い合わせの段階でお客様の目的を丁寧にうかがい、必要であれば機種や測定方法の変更をご提案する「ヒアリング型」のサーモグラフィーレンタルを採用しております。「どう撮ればよいか分からない」という段階からのご相談もお受けしております。
サーモグラフィレンタルのご相談は、サーモグラフィーレンタル【公式】サーモグラフィ株式会社までお気軽にどうぞ。
前回のコラム「テレビ番組の効果比較にスマホ型サーモグラフィは使える?」では、放送の企画での相談事例をご紹介しました。今回は、塗装業者様や建物のオーナー様から多くいただく、「遮熱塗料の効果を、サーモグラフィで比べたい」というご相談を例に、弊社がどのようにお話をうかがい、どのようにご提案しているかをご紹介します。
よくいただくご相談|「屋根を撮影して、塗装前後の温度差を見せたい」
遮熱塗料の効果を確かめたい、またはお客様に見ていただきたいという目的で、次のようなご希望をいただくことがあります。・屋根や屋上を外から撮影して、塗装した部分と塗装していない部分の温度差を見せたい
・塗装前と塗装後の屋根の温度を、サーモグラフィで比べたい
インターネットで「遮熱塗料」「サーモグラフィ」と検索すると、屋根や外壁を外から撮影し、塗装前後や塗装範囲の内外で、表面の温度が大きく違って見える画像が数多く掲載されています。そのため、同じように撮影すれば効果が確認できると考えられるのは、自然なことです。
屋根の撮影をご希望になる背景には、次のような理由があります。
・屋根を塗装したのだから、屋根の温度が変わっているほうが、イメージとして分かりやすい
・インターネットや他社の資料にある画像と、同じような画像がほしい
お客様に分かりやすく伝えたいというお気持ちから出たご希望で、よく分かります。ただ、測定方法が適切でない比較結果をお示ししてしまうと、効果の説明としての説得力を欠くだけでなく、かえって商品のイメージを下げてしまうことになりかねません。
まず整理したいこと|遮熱と断熱は、働き方が違っても、見方は同じです
遮熱塗料は、太陽の光(日射)を反射して、塗装した面の温度が上がりにくくする塗料です。一方、断熱塗料は、塗膜によって熱の伝わりを抑えることを目的とした塗料で、遮熱とは働き方が異なります。どちらも「熱を防ぐ塗料」として一緒に語られることがありますが、サーモグラフィで効果を確かめるときの考え方は、基本的に同じです。いずれの場合も、屋根の外側の表面温度ではなく、建物の中へ入る熱の違いを見ることが大切です。以下では、遮熱塗料を例にご説明します。
屋根を外から撮影した温度差は、効果の差とは限りません
ここが、今回いちばんお伝えしたい点です。サーモグラフィカメラが捉えているのは、対象物の表面から放射される赤外線です(詳しくは、コラム「熱の伝わり方は3種類」をご覧ください)。つまり、画面に映っているのは「表面の見かけの温度」であり、その値は、次のような理由で、実際の効果とは別の影響を受けます。・放射率の違い:物体は、表面の状態(光沢、材質、色など)によって、赤外線の出しやすさが異なります。この違いを考えずに温度を読むと、同じ温度の面でも、見かけの温度が変わります。
・周囲の映り込み:遮熱塗料は、日射を反射するために、光沢のある表面に仕上がるものが多くあります。光沢のある面は、周囲の赤外線を反射します。屋根が向いている先は空ですが、空は地上の物体よりも見かけの温度が低いため、その低い温度が映り込み、屋根の温度が実際より低く見えることがあります。
・その他の条件:日射の強さ、風、時間帯、下地や色の違いなども、屋根の表面温度に影響します。

その結果、遮熱の効果がそれほど高くない塗料であっても、光沢のある塗料であれば、屋根の温度が圧倒的に低く見えてしまうことがあります。屋根の表面温度が低く見えることと、建物の中に入る熱が減っていることは、別の話です。なお、影響の大きさは、塗料の種類や仕上がりによって異なります。
室内の天井で比べる理由
遮熱塗料の目的は、屋根や屋上から建物の中へ入る熱を減らして、室内を涼しく保つことです。そのため、効果を確かめるには、屋根の外側の表面ではなく、熱の影響を受けた室内側の天井面で比べる必要があります。室内の天井は、日射や空の映り込みの影響を受けにくく、塗装していない同じ仕上げの面同士を比べやすいため、放射率や映り込みの条件をそろえやすくなります。屋根の外側の温度差ではなく、天井面の温度の違いを見ることで、効果の有無を、より正しく確認することができます。

ヒアリングでうかがったこと|何を比べたいのか、どう比べるのか
まず、次のような点をうかがいます。・何を確かめたいのか(効果の有無か、塗料同士の比較か、お客様への説明資料か)
・建物の構造と、塗装した場所(屋根、屋上、外壁など)
・どのように比べる予定か(塗装前後か、塗装した部屋としていない部屋か、別の建物か)
・撮影を予定している時間帯と、天候(日射のある日か)
・画像をどこで使うか(社内の資料か、お客様への説明か、ホームページや広告か)
企画の参考にされた検証画像が、屋根の外側から撮影したものである場合は、その画像の見え方についても、あわせてご説明しています。
ご提案した内容と、その結果|機種と、測定方法の両方を
弊社では、機種だけでなく、測定方法もあわせてご提案しています。・機種:測定条件を管理でき、温度の数値を扱える、測定に適した機種
・測定方法:室内の天井面で比較すること。比べる条件(時間帯、日射の条件、向き、構造、撮影の距離と角度)をそろえること。外気温や室温もあわせて記録すること。
屋根を外から撮影した画像を使う場合は、その画像が示している内容と、示していない内容を、説明文に正しく書く必要があります。弊社では、画像に添える説明文に、誤解を招く表現がないかの確認も承っております。
弊社でレンタルをご利用いただく方は、室内からの比較画像を使われることが多く、測定方法の見直しも含めて、ご対応をいただいています。
なぜ、この撮り方が広まっているのか
屋根を外から撮影すると、温度の差が大きく出て、色の違いも分かりやすいため、検証の画像として掲載しやすくなります。その画像を参考に、同じ方法で撮影し、案内する方が増え、その撮影画像がまた新しい事例として掲載される、という流れで広がっていきます。近年は、小型で価格を抑えたサーモグラフィカメラが増え、取り扱う会社も増えました。その中には、測定の条件を専門家と十分に確認しないまま、インターネット上の事例を参考に案内されるケースも見られます。温度の差が大きく出ているからといって、正しく比較できているとは限りません。
サーモグラフィを使った比較や検証で、誤った情報を避けるには、画像の見た目ではなく、「何を測っているのか」「条件はそろっているのか」を確かめることが大切です。この点は、コラム「サーモグラフィの比較・検証を行う際に知っておきたいこと」でも書いておりますので、あわせてご覧ください。
塗装業者・建物のオーナー様へ|検証の前に、確認していただきたい4点
遮熱塗料の効果を、サーモグラフィで比べる前に、次の4点を確認してみてください。・屋根の外側の表面温度だけで、効果を判断していないか(建物の中へ入る熱の違いも確認しているか)
・屋根や外壁を外から撮影する場合、塗料の光沢や仕上げによる放射率の違いと、空の映り込みの影響を考えているか
・比較する面の条件(塗料の光沢や仕上げ、時間帯、日射、向き、構造)がそろっているか
・測定方法と、画像の見せ方を、赤外線測定の専門家に事前に確認してもらえているか
弊社では、お問い合わせの段階でお客様の目的を丁寧にうかがい、必要であれば機種や測定方法の変更をご提案する「ヒアリング型」のサーモグラフィーレンタルを採用しております。「どう撮ればよいか分からない」という段階からのご相談もお受けしております。
サーモグラフィレンタルのご相談は、サーモグラフィーレンタル【公式】サーモグラフィ株式会社までお気軽にどうぞ。